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訪問看護ステーションの立ち上げ方~準備から開業まで

訪問看護ステーションの立ち上げ方~準備から開業まで

 高齢化が進む日本において訪問看護は自宅での療養を支える重要な在宅医療の一つです。訪問看護ステーション開業を考えているものの、実際どうやって開業したらいいのか、準備はどうしたらいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、訪問看護ステーションの立ち上げ方について準備から開業までをご紹介します。是非参考にしてみてください。

訪問看護とは

 病気や障害を持った方が、住み慣れた地域やご家庭で本人やご家族の希望に沿い安心して療養生活が送れるように支援をするサービスです。

 地域の訪問看護ステーションは、主治医の指示に基づき、看護師や理学療法士、作業療法士等がその方々のご自宅など生活をする場所へ訪問し、病状の確認や点滴、医療機器の管理などの医療ケア、緩和ケア、リハビリ、 ご本人や家族の精神的サポート、日常生活のサポートなどを行います。

訪問看護が増えている理由

在宅医療の現状

 厚生労働省の平成29年(2017)患者調査の概況による、「在宅医療を受けた推計外来患者数の年次推移」を見ると、在宅医療を受けた推計外来患者数は1996年から2005年までは約70,000人とほぼ横ばいですが、2008年以降からは増加し、2017年には、約180,000人となっています。

 また、在宅医療のうち訪問診療に至っては、2005年までの約30,000~35,000人に対して2017年には、約116,000人と3倍以上増加しています。

 2017年の訪問診療を受けた年齢の内訳を見ると、全体のうち75歳以上が約84%で高齢者がいかに多いのかがわかります。

 この調査結果は2017年ですから2022年の現在は、もっと増加していることが予測できます。

在宅医療を受けた推計外来患者数の年次推移

参考:厚生労働省 政府統計

平成29年(2017)患者調査の概況

指定訪問看護ステーション数の推移

 国が自宅での療養を推奨していることもあり、近年訪問看護ステーションの数は増え続けています。一般社団法人全国訪問看護事業協会の調査によると、2021年4月1日現在、全国の指定訪問看護ステーション数は、13.003となっています。2010年の5.731からするとこの10年程で2倍以上増加したことがわかります。

指定訪問看護ステーション数(全国)

参考:一般社団法人全国訪問看護事業協会

令和3年度 訪問看護ステーション数 調査結果

準備~開業までの流れ

 訪問看護ステーションを立ち上げるには、都道府県知事又は指定都市・中核市の市長の指定を受ける必要があります。

法人であること

 医療法人、社会福祉法人、NPO法人、合同会社、合資会社、有限会社、株式会社など、どのような形態の法人でもいいので、まずは法人であることが必須です。法人を設立したら必ず社会保険に加入しましょう。そして定款の事業目的欄に【介護保険法に基づく訪問看護事業】と入れる必要があります。既に法人がある場合も同様に入れる必要がありますので、変更し訪問看護事業所を法人内に登記しましょう。

指定基準を満たすこと

 訪問看護ステーション開設には、介護保険法に基づいた指定基準を満たすことが必要です。

訪問看護開業の指定基準

 訪問看護ステーションを開業するには、介護保険法に基づいた指定基準を満たすことが必要です。

人員基準

 看護職員(保健師、看護師又は准看護師)を常勤換算で2.5人以上配置することが義務付けられています。そのため、事業所の指定申請までに最低3人以上、そのうち1名は常勤の採用が必要です。また、管理者についても定められており、管理者には常勤の保健師又は看護師であることが条件です。この他にも事業所の実情に応じて、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士も配置します。

設備基準

 設備基準として、事業の運営に必要な広さの事務室が必要となり、訪問看護専用の事務所を設けることが理想的とされています。また、既に同一敷地内に他の事業所、施設がある場合、それらの他の事業所と訪問看護事務所は明確に分ける必要があります。

相談室の確保

 訪問看護の利用申し込みの受付、相談などに対応するために適切なスペースを確保した相談室を設置する必要もあります。プライバシーに配慮しつつ落ち着いて申し込み、相談ができる環境を整えましょう。

【一般的な設備・備品】

  • 事務デスク、チェア
  • パソコン、タブレット
  • 電話、FAX、携帯電話スマートフォン
  • コピー機、プリンター
  • 書庫、書棚(鍵付)
  • 事務用品
  • 洗面台
  • 事務用品
  • ロッカー
  • 感染症対策用品
  • 医療機器
  • その他サービス提供に必要な備品及び消耗品

運営基準

 訪問看護の運営基準については次のようになります

  • 内容及び手続きの説明及び同意
  • 提供拒否の禁止
  • 提供困難時の対応
  • 受給資格等の確認
  • 心身の状況等の把握
  • 保健医療サービス及び福祉サービス提供者との連携
  • 身分を証する書類の携行
  • 利用料
  • 指定訪問看護の基本取扱方針及び具体的取扱方針
  • 主治医との関係
  • 訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成
  • 利用者に関する全国健康保険協会、後期高齢者医療広域連合又は健康保険組合への通知
  • 緊急時の対応
  • 管理者の責務
  • 運営規程
  • 勤務体制の確保等
  • 掲示
  • 秘密保持
  • 広告
  • 苦情処理
  • 事故発生時の対応
  • 会計の区分
  • 記録の整備
  • 事業報告

指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について

指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について

このように訪問看護には遵守しなければならない指定基準が定められています。

開業に必要な資金はいくら?

 訪問看護ステーション開設に必要な費用項目として、設備資金と運転資金が必要です。物件の賃料など、地域によって差もあるので一概には言えませんが、500万~1,000万と考えている人が多いようです。

設備資金とは

 事業所開設のために必要な設備購入資金です。物件取得や会社設立費用、指定申請手数料、設備基準にある備品・設備費用、車両代など。

運転資金とは

 訪問看護ステーションで業務を継続していくために必要な費用です。従業員の給与、広告費、賃料、水道光熱費などさまざまな費用です。

資金調達

まずは、日本政策金融公庫

 日本政策金融公庫は中小企業・小規模事業者へ資金調達するために設立された政府の金融機関です。メリットは、民間の金融機関より低金利で借り入れができることです。申し込みは、必要書類の提出、面談を経て融資額や返済利率が決定します。審査には1カ月から1カ月半ほどと言われています。もし、審査に落ちた場合は、半年から1年の間は融資の再申し込みができないので注意が必要です

銀行などの金融機関はハードルが高い

 メガバンクや上位の地方銀行は、大口の融資も可能ではありますが、それは信用があればの話です。なので、起業初期の段階では審査が通らないことが多くなります。

開業における注意点

人材不足

 人材不足の主な原因は、多岐にわたる業務量の多さと重労働と言われています。将来的に需要が期待される訪問看護ですが、利用者増加に対しての人員の確保が難しくなることもあるので注意が必要です。

介護報酬・診療報酬改定

 介護報酬や診療報酬の改定があることをまずは知っておきましょう。

  • 介護報酬:3年ごと
  • 診療報酬:2年ごと

 上記のように報酬の体系や単位数などが定期的に見直されています。訪問看護の収入のほとんどが介護報酬と診療報酬になるため注意が必要です。

訪問看護ステーションを開業するなら

 訪問看護ステーションの立ち上げ方について準備から開業についてご紹介しました。指定基準など色々不安に思われる方も少なくはないと思います。しかし、訪問看護を必要としているのは、高齢者だけでなく、赤ちゃんをはじめとした全ての年齢の方です。病気や障害を持った方が、住み慣れた地域やご家庭で本人やご家族の希望に沿い安心して療養生活を支える社会的にも重要な事業です。

 私たちリハプライム株式会社では、歩行に特化したリハビリデイサービス「コンパスウォーク」を軸に訪問介護事業及び訪問看護事業を併設することをお勧めしています。それぞれ単体で運営するよりも充実した介護サービスの提供と人材の確保、収入の安定化が見込まれます。

 

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